「Choreography filmed: 5days of movement」は、YCAMと白井剛(振付家/ダンサー)が共同で、ひとつのビデオダンス作品の制作をおこなうところからスタートしたプロジェクトです。白井の代表的なダンス作品のひとつである「質量, slide ,& .」(2004年初演)のコンセプトをもとに、映像として再構成したのが、ビデオダンス作品「質量, slide ,& . in frames」です。振付家・ダンサーが、自身の身体を撮影、編集することで見えてくる「映像としてのダンス」とは一体どのようなものなのでしょうか――。
本プロジェクトの特徴は、制作したビデオダンス作品だけに留まりません。撮影カメラの映像をストリーミング配信することからはじまり、完成したビデオダンス作品、さらには作品には使用されなかった全映像素材のwebサイトでの公開など、ひとつのビデオダンス作品を起点にインターネットを通じて多面的なアプローチを展開しています。さらに、本サイトが公開された2011年1月には、「質量, slide ,& . in frames」プレミア上映会を開催。白井とゲストを交え、映像とダンスの歴史的変遷、ならびにインターネット以降の映像文化の動向からプロジェクト全体を考察しました。このような様々な展開と、作品自体がもたらす様々な相乗効果も本プロジェクトの魅力と言えるでしょう。
映像を制作すること、そして体験することの現在性を浮かび上がらせ、「作品」という概念がより環境を含んだものになることを強く予期させる本プロジェクト。今後、映像によって描写される身体はどう想起され、そして、それを見る身体はどのような変容を遂げていくのでしょうか。プロジェクトでの一連の試みを通じ、映像と身体をめぐる〈現在形の揺らぎ〉を提起します。
※本プロジェクトタイトルは、ダンサーのムーブメント(動き)と、映像の中のコレオグラフィー(振付)について検証し、「映像と身体」の今日的な可能性を探る意図が込められています。